Grim Fandango Remastared


<概略>

 
"Grim Fandango"は1998年にLucas Artsより発売された、ADVゲームである。少々変わったタイトルだが、これはGrim Reaper(死神)+Fandango(メキシコ音楽の一種、あるいはバカ騒ぎの意)からつけられたようである。
 1998年のリリース以来、ADVゲームとしては大変高い評価を得ており、欧米圏では数々の賞を受賞。最近ではAdventuregamers(膨大なADVの情報やレビューを掲載している老舗サイト)で2011年に行われた"Top 100 All-Time Adventures"では、"The Longest Journey"を抑え、堂々の一位を獲得するほど、根強い人気を誇っている。さらに2015年には、待望のHDリマスター版がリリースされた。今回筆者がプレイしたのは、表題通りHDリマスター版の方であり、スクリーンショットもHD版から撮影したことを記しておこう。
<感想>
 このゲームの魅力の一つはその世界観だろう。死者の世界が舞台であり、登場人物のほとんどが骸骨と聞けば、多くの人たちはこのゲームはかなり陰鬱なストーリーだと思うだろう。近頃の海外ゲームはいわゆるリアル系が多いから、なおさらそう思っても不思議はない。しかし、"Grim Fandango"にはその公式は当てはまらない。スクリーンショットを見ていただければ理解していただけると思うが、その世界観はラテンノリの明るい雰囲気だ。昨今ではなかなかお目にかからない、かなり独特の世界観である。この雰囲気が肌に合うかどうかが、このゲームを好きになれるかどうかの分かれ目の一つだろう。

彼こそが主人公のマヌエル・カラベラ。通称マニー。死者たちの冥界への旅を手配する旅行代理店のセールスマンだ。なかなか上がらない営業成績に鬱々としていたが、ある女性との出会いをきっかけにそんな生活に終わりを告げることになる。


 また、物語のクォリティも及第点だ。主人公、マヌエル・カラベラの冒険と成功が物語の主軸となるが、自分が死神として勤めていた旅行代理店の裏側でうごめく陰謀が、丁寧な伏線ともに展開し、納得の大団円として収束していく。その意味では、ストーリー面はハリウッド映画的、あるいは王道的であるとも言える。内容もからりと明るく、陰鬱さはほとんどない。しかしながら、ストーリーそのものはどんでん返しがいくつもあるような、意外性に富んだ物ではない。むしろ、このゲームにおいて特筆すべきは、登場キャラクターと彼らの使い方である。彼らは個性豊かであり、台詞回しやリアクションを見ているだけでも楽しい。彼らのほとんどは主人公の冒険の過程において、起承転結ある役をこなしている。たとえオープニングで登場したどう見ても使い捨てのモブキャラでさえ、終盤で登場し驚かせてくれたりするのだ。

彼は死者の国の精霊、グロティス。メカニックであり、ドライバーだ。少々おつむは弱いが、気は優しく力持ち。マニーの冒険をいろいろと手助けしてくれる(主に魔改造で)。ギャンブル狂で、大酒飲みなのが玉に瑕(汗)。


 惜しむらくは、見た目に似合わぬ難易度の高さである。ADVゲームであるため、フラグ立てや謎解きが基本となるが、それらがかなり意地悪である。特に謎解きは、非常に奇抜な発想が求められる物が少なくない。しかも、ゲーム中に示されるヒントがないという不親切なものまである。そのため、攻略サイトの情報なしではクリアーは非常に困難だと思われる。また、20年近く前の作品であり(HDリマスター版でも)、昨今では珍しくないヒント機能が存在しないことも、難易度をさらに上げる要因となっている。

グロティスが改造したマシンに、爆弾が仕掛けられた!? しかも、ドミノ倒しでスイッチが入るの!? どうやって、これを外すのさ!?


 また、操作できるオブジェクトの有無やロケーションの移動が分かりづらいという欠点もある。このゲーム(特にオリジナル版)はADVの王道システムともいうべき、ポイント&クリックを採用していない。いわゆる初期のバイオハザードシリーズに代表されるような、ラジコン操作タイプだ。そのためカーソルあわせによって、操作可能かどうかの判断ができない。一応オブジェクトに近づくと、主人公の視線(というか首の向き)で一応判断はできるのだが…。その上、オブジェクトが操作可能になるキャラクターの位置合わせや当たり判定も妙にシビアなところがあり、イライラさせられることがあった。ただし、HDリマスター版ではキーボードの操作のみならず、ゲームパッドやマウスでの操作が可能となっている。特にマウス操作に切り替えれば、ポイント&クリックの方式でプレイ可能なので、この欠点は消え失せるといってもいいだろう。

白いタキシードを着たマニーとグロティス。グロティスに至ってはピアノまで弾いている。一体、彼らに何が…?



<結論>
 "Grim Fandango"はその独特な世界観と、登場人物の造形が特徴のADVゲームである。雰囲気やストーリーは明るく、個性豊かなキャラクターたちの掛け合いは、プレイヤーに笑いをもたらしてくれるだろう。その一方で、個性豊かな登場人物と彼らの物語中での使い方がADVゲームファンをうならせるだろう。
 しかし、理不尽な謎解きと、ゲーム中のヒント、あるいはヒント機能の欠如が最大級の欠点となっている。また、オブジェクトの判別のしづらさや、キャラクターの位置合わせや当たり判定のシビアさの問題もある。ただし、後者はHDリマスター版であれば、マウス操作に切り替えることでクリアー可能な問題なので、覚えておくと良いだろう。
 独特な世界観ということもあり、欧米ならまだしも日本では少々取っつきづらい印象を受けるかもしれない。しかし、その雰囲気とストーリーのノリはかなり明るいので、リアル系の重厚な雰囲気に飽きてしまった海外ゲームファンはチェックしても良いのではないだろうか。

 海外では非常に高く評価されている"Grim Fandango"だが、残念ながら日本語版は存在しない。だが、有志によって日本語化されている。問題があったのか、ひらがなのみの表示となっているが、英語が苦手な方は探してみると良いだろう。ただし、導入にあたっては完全に自己責任であるということは明言しておく。くれぐれも、その辺は理解して欲しい。
 "Grim Fandango"そのものはかなり古い作品だが、2015年にHDリマスター版がリリースされた。PC、すなわちWindows版。PS4、PS Vita、Android、iOSでリリースされている。好みのプラットフォームをチョイスして欲しい。ただし、有志の日本語パッチが適用可能なのはおそらくWindows版のみと思われる。
 




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